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第一章 第二章 第三章 第四章 「農」と国土の変貌
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人口の爆発  右上の図は、国連の人口部が公表している世界人口のグラフです。これを見ると、紀元前1万年ぐらいからずっと数億人程度であった地球の人口は、1750年くらいを境に爆発的に増加しています。日本でも、1900年ぐらいから、同じ現象が起こっています(右下図)。

  現在の世界人口の増加は、アフリカや東アジアなど発展途上国での増加が90%以上を占めていますが、どうもこの急カーブは、それとは違う理由のようです。

  1750年といえば、ヨーロッパでは産業革命の頃。日本で急増するのも明治からです。アメリカでも、1900年には7600万人だった人口は、2000年には2億8000万人と4倍近い伸びを示しています(19世紀後半にヨーロッパでは人口が急増し、食料難から多くがアメリカに移住)。つまり、人口増加のきっかけは、人類が地下に眠っていた埋蔵エネルギーを使い始めた時期と一致していることになるのです(もちろん、医療の進歩と無関係ではありません)。

  もともと、どこの国でも農地面積の増加と人口の増加は比例しています。理由はお分かりですね。太陽エネルギーの変換、つまり食料や産業の規模は農地面積や生産量に比例するからです。食料や産業の少ない国では多くの人口を養えない。例えば、江戸中期の人口は1732年の3230万人をピークに、1790年頃まで減り続けています。理由は気温の低下らしく、この時期、享保、宝暦、安永、天明と大飢饉が発生しています。

 ところが、人類は地下から膨大なエネルギーを掘り出すことに成功しました。そして、人力や畜力をはるかに上回る強大なパワーを手に入れました。もはや太陽エネルギーに頼らなくても、巨額の富を築けるようになったのです。石炭や石油による輸送技術の発達によって、食料は遠い場所からでも手に入ります。現在、私たちは、ブラジルのコーヒーを飲み、ドイツのソーセージ、アメリカのハンバーグやフィリピンのバナナなども食べています。これも、石炭や石油というエネルギーが可能にしたことなのです。

 大和政権から江戸時代までは、農地を増やすことが国力をつけることでした。ところが、明治以降、石炭や石油(電気)エネルギーによる産業の拡大が国力となっていったのです。

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