1-企業活動と生物多様性

2.6度目の大量絶滅時代!?

「気候変動は今日の新聞のヘッドラインを占めているが、
明日には生態系の破壊がヘッドラインを占めることになるであろう」。
― Corporate Ecosystem Services Preview 2008.3 ―

 ネスレ社へのバッシングに見られる森林破壊は、CO2の問題としてよりもむしろオランウータンなどの動物、つまり生物多様性の破壊としての問題としてとらえられていることに注目すべきでしょう。

 これまで企業の環境問題への関与としては地球の温暖化、すなわちCO2に関わるものがほとんどでした。しかし昨今の企業、少なくとも国際的企業における環境問題への対応は、急速に生物多様性や発展途上国への配慮といった問題にシフトしてきているようです。

この背景には、現代が地球における生命の誕生以来6度目といわれる大量絶滅時代に入っているのではないかという学説が挙げられます。

生物多様性キーワード辞典より

 ノーマン・マイヤーズ(生物多様性の権威)によれば、恐竜時代には1000年で1種だった種の絶滅は1600~1900年で4年で1種まで増え、さらに1975年には1年で1,000種、そして1975~2000年には毎年4万種もの絶滅が起こっているとのこと。

 1年間で4万種ということは13分に1種が絶滅している計算になります。1000年で1種だった太古と比べると異常きわまりない数値です。また、世界の動植物の70%が危機という試算も報告されています(IUCN2008)

 こうしたことが、近代は地球に生命が誕生して以来6度目の大絶滅時代を迎えているという科学的論説の根拠になっているわけです。

 これまでの5度の大絶滅時代を示したのが右の表です。

 3度目(ベルム紀末期)が史上最大の絶滅で、海の脊椎動物の96%が絶滅したとされています。

 5度目は約6500年前の白亜紀末期、恐竜が絶滅したことで知られています。ユカタン半島に直径10~15kmの隕石が衝突し、全地球を巨大な津波が襲うとともに、塵が太陽光をさえぎって寒冷化を引き起こし、大半の植物が死に絶えたという有名な学説です。

 この学説からはほとんど一瞬にして恐竜や他の生物が滅んだような印象を受けますが、実際には恐竜が絶滅するのに60万年かかったとされており、隕石の衝突後も絶滅の速度は1年当たり10種とも100種と言われています。

 1年に4万種といわれる現代の絶滅スピードがいかに異常な現象であるかがわかります。この絶滅の速度はこれまでの5回と比べても比較にならず、地球に生命が誕生して以来、初めてのことらしいのです。